幸福な姫(後)これは、一体なんなんだろう。 急に腕を強い力で引っ張られ、抵抗する間も無くバスタブに落ちた。普段は張り合っているものの、乱馬に力で勝てるはずもないことを重々に承知していて、けれどこんなにもあっさりとバスタブに、乱馬の腕の中に落ちていた。抵抗する間もなかったのは、たぶん呆...
幸福な姫(前)むかしむかし、あるところに、かつてこの国で、幸福な生涯を送りながら若くして死んだとある王子の銅像がありました。「幸福な王子」とよばれるその銅像の両目には青いサファイア、腰の剣の装飾には真っ赤なルビーが輝き、体は金箔に包まれていて、心臓は鉛で作られていました。...